自ら健康に、水から健康に。合言葉は「はやめに、こまめに」
🎤甲子園“飛ばないバット”は采配も難しい「バントさせておけば…」明徳義塾・馬淵監督、去り際の本音「ここを見つめ直さないと勝てない」
https://news.yahoo.co.jp/articles/8ae6bf8d61367da1a40ff26279b8015772605baf
試合後のインタビュー。記者の質問を受ける前に、明徳義塾の馬淵史郎監督は口を開いた。「負けるべくして負けた試合でした」
ゲームプラン通りロースコアの展開に持ち込んだ。だが、守備でも攻撃でも大事な場面でミスが出た。
「バントさせて構わない」との伝令を出したが
今大会で準優勝を果たすことになる、関東一に一時は勝ち越しながらも2-3で惜敗。初戦に勝利して甲子園の春夏通算勝利数を55に伸ばした68歳の名将は「守れない、バントできない、大事な中盤以降に先頭打者への四球。絵に描いたような負けパターンでした」と振り返った。
飛距離が抑えられた新基準バットでは、1点を取れるかどうかが大きなポイントとなる。この試合では馬淵監督が言及したように、バントが勝敗を分けた。
守備のミスが出たのは1点リードの5回表だった。2死三塁の場面で、明徳義塾の二塁手・平尾成歩選手の正面にゴロが転がった。スリーアウトチェンジと思われた打球だったが、平尾のグラブを弾いてエラーが記録された。
続く6回表。悪い流れを引きずったまま、明徳義塾の池崎安侍朗投手は先頭打者を四球で歩かせる。すかさず、馬淵監督が伝令を送った。
「バントをさせて構わない」
指揮官は関東一の4番・高橋徹平選手に犠打を決めさせ、1死二塁からの勝負を描いていた。高橋は初球からバントの構えを見せる。ところが、池崎はカウントを悪くして、フルカウントからバスターエンドランを決められてしまう。無死一、三塁とピンチが広がり、5番・越後駿祐選手に勝ち越し打を許した。馬淵監督は試合後、悔しさをにじませた。
「先頭打者の四球が痛かった。この日の打撃の調子を考えれば、相手の4番にはバントのサインが出る。バントをやらせろと言ったのに、バスターエンドランをかけられるカウントにしてしまった。バントをさせておけば、そんなに大きなピンチにはなっていなかった」
攻撃では代打で送りバントを仕掛けたが
攻撃面のミスは1点を追う7回無死一、二塁で起きた。馬淵監督は4番・竹下徠空選手に代打を送る勝負に出た。犠打で1死二、三塁をつくって同点、逆転へとつなげるシナリオを描いた。ただ、代打・北浦龍選手は2球で追い込まれ、3球目のバントは坂井遼投手の正面に転がった。ゴロを捕球した坂井が三塁に送球。アウトカウントだけが増える形となった。
指揮官はこう振り返る。「竹下にバントのサインを出すなら、バントの上手い選手にやらせようと思いました。思い切って代えましたが、痛いミスになってしまいました。送っておければリズムができたし、何とでもなったのですが」と回想した。
チャンスは続く。5番・長谷川烈央選手の打球は一、二塁間へ転がった。しかし、関東一の二塁手・小島想生選手に飛びついて捕球され、一塁でアウトを取られる。2死二、三塁となった後も、三遊間へのゴロを関東一の三塁手・高橋に横っ飛びで抑えられた。相手の連続ファインプレーで無得点。馬淵監督は「相手に上手いプレーをされました。ツキがなかったですね」と語った。
関東一のセカンドは準備ができていた
ツキがなかった――。名将が何度か口にした言葉。ただし要因は運だけではない。好守を見せた関東一の二塁手・小島は準備ができていた。
「相手は送りバントを失敗していたので、次の打者としては最低でも走者を進めるために右方向へゴロを打ってくるだろうと予測していました。坂井のバント処理もそうですが、普段から走者を置いた守備練習を繰り返しています。焦りはなく、普段通りやった結果です」
関東一の熊谷俊乃介捕手も勝負所での好守備は偶然や運ではないと考えていた。小島のコメントを、さらに掘り下げて解説した。
「相手チームの打者の特徴はバッテリーだけではなく、チーム全員で共有しています。内野手は自分の配球を予想して守備位置を変える時もあります。守備でアウトを取れるかどうかは事前の準備と一歩目の動きで決まる部分が大きいので、チーム全体で大事にしています」
関東一の選手たちは「伝統的に守備からリズムをつくるチーム」と口をそろえていた。そして、夏の甲子園では初めて導入される低反発バットの影響で、守備への意識は一層強くなった。内野ゴロが増え、アウトを取れるかどうかで勝敗が決まると考えている。明徳義塾戦でも勝負どころの守備が明暗を分けて白星を手にした。
“負けが必然のゲーム”だった
バットの変更による守備への考え方は馬淵監督も同じだ。元々、緻密な野球をスタイルとしているが、守備のミスが勝敗に直結すると聖地で痛感した。
「この試合、両チームとも外野の頭を越える打球は1本もありませんでした。こんなものだと思ってやらないと駄目だということです。そうなると、守備力とバントの重要性が高まります。相手の内野は、よく守りました。うちにも良い守備がありましたけどね」
明徳は失点につながるミスはあったが、好守も見せた。6回に勝ち越しを許し、なおも1死一、二塁のピンチで、二塁手・平尾が一、二塁間へのゴロに飛びついて一塁でアウトを取った。馬淵監督が「抜けていたら失点していた」と称えたプレーだった。
「負けは必然、勝ちは偶然と言いますが、きょうは必然のゲーム。大事なところで守りのミスやバントミスをすれば、上には行けません。そして、四球からピンチを広げるパターン。ここをもう一度見つめ直さないと、甲子園では勝てないと思っています」
ご苦労さんと言ってやりたいです
敗戦後の指揮官は厳しい言葉を並べた。ただ、ぼやきや嘆きとは違う。口調や表情は暗くない。甲子園で初めて経験した低反発バットで課題が明確になる収穫があった。最後は選手を労って、前を見据えた。
「今年のチームはよくやったと思います。ずっと勝てない状況から甲子園で1勝できるところまで来ました。ご苦労さんと言ってやりたいです。選手たちは目標を高く持っているので、『よくやった』という言葉では納得しないかもしれませんが。今回の経験を次のチームに生かしたいと思っています」
今大会で2試合とも最後まで1人で投げ抜いた池崎は、まだ2年生。この試合で適時打を放った里山楓馬捕手は1年生で、バッテリーが新チームに残る。さらに、1番打者の松井萊翔選手と3番の藤森海斗選手も2年生で、引き続き主力として計算できる。
「センバツには石にかじりついてでも出てきたいですね」
聖地を去る名将の足取りは決して重くはなく、力強いまなざしだった。
📝ざわつく甲子園スタンド「大阪桐蔭ムチャ打つやろね」が裏切られた日…高校野球“番狂わせ”の新常識「なぜ超名門校は110キロ台“遅いピッチャー”が苦手?」
https://news.yahoo.co.jp/articles/02298f1adbcffe5ee2ec985e027241f9207d3569?page=1
夏の甲子園。足を運んだ日に智弁和歌山、センバツ優勝の健大高崎、そして大阪桐蔭が敗れるという「衝撃」を目撃してしまった。
印象的だったのは、智弁和歌山、大阪桐蔭の両校の打線が「遅い球の罠」にハマってしまっていたことだ。
智弁和歌山の対戦相手、霞ヶ浦の2年生エース市村才樹は身長188センチと大柄。ただしストレートは120キロ台、スライダーは100キロ台、カーブにいたっては90キロ前後と、甲子園出場レベルの学校の投手としては「超遅」といってよかった。
スタンドで見ていても、遅いと分かる。20年ほど前、現在はヤクルトスワローズの監督を務める高津臣吾が、マリナーズの本拠地で90キロ台のカーブを投げ、スタンドから「Ohhhh!」という驚きの声が上がったのを思い出したほどだ。
130キロ以上が“当たり前”
素人は、遅い方が打ちやすいと考える。それは違うのだ。甲子園常連校の場合、対戦相手の投手が130キロ、140キロ台の速球派で、それを打ち抜くことを想定している。そうなると、日ごろのピッチングマシンの速度設定、練習試合の対戦相手も速球派の投手を求める。つまり、打撃の始動のタイミングが130キロ以上に対応したものになっている場合が多い。
そうした「初期設定」になっていると、軟投派の投手に出くわすと思わぬ苦戦を強いられる場合がある。対戦前、「相手は軟投派」とデータで示されていても、なかなか対応できるものではない。
この日の智弁和歌山は、打者の1巡目はフライアウトが6に対し、ゴロアウトは1つという内容だった。どちらかといえば、ボールの下を叩いてしまうことが目立った。
ところが霞ヶ浦に先制点を許し、打順が2巡目に入ると、遅い球をバットに引っかけることが目立ち始めた。2巡目に入ってから、7回まではゴロアウトが8、フライアウトが2と凡打の山を築き始めた。しかも6回、7回ともに併殺打でイニングオーバー。市村の術中に完全にハマってしまう形となった。
それでも8回裏には霞ヶ浦の二塁手のエラーをきっかけに、途中出場の高桑京士郎、4番の花田悠月に連続ホームランが出て試合を振り出しに戻すと、甲子園は沸きに沸いた。
ようやくこの回の途中で市村をマウンドから引きずり下ろした格好になったが、強打者である4番の花田にしても、4打席目になってようやくタイミングをつかんだことになる(3打席目は併殺打に倒れていた)。
試合は延長戦に入り、後攻の智弁和歌山が有利と思われたが、延長11回、タイブレークの末に敗れた。振り返ってみると、市村の遅い球に翻弄され続け、後手に回ったのが敗因となった。
「大阪桐蔭、ムチャムチャ打つやろね」
翌14日は第2試合に大阪桐蔭が出るとあってスタンドは超満員、私の周りのファンは、「大阪桐蔭、ムチャムチャ打つやろね」
と話していたのだが――この試合の主役となったのは、小松大谷のエース、西川大智だった。西川はスイスイと投げ進め、なんと92球での完封、大阪桐蔭相手に100球未満での完封劇“マダックス”を達成してしまった。
霞ヶ浦の市村ほどではないが、西川も遅い球をうまく駆使した。西川の持ち球はストレートとスライダー、そしてチェンジアップの3種類のみ。この日の投球内容を分析すると、試合の序盤はストレートとスライダーを中心に組み立て、後半はチェンジアップを織り交ぜていく。
西川は「緩急」をうまく利用した。この日、ストレートの最速は138キロだったが、変化球を投じた時にはスピードガンの表示が110キロ台になることも珍しくなかった。
大阪桐蔭の各打者は、バットには当てた。しかし、そのほとんどが凡打となった。この日、フライアウトは15を数え、内野ゴロは10個。打球で歓声が上がったのは、7回2死から代打で登場したラマルがレフトフライを放ったときだけだっただろうか。
そして西川が奪った三振は……わずか1個だけだった。
120キロ台「打ちごろ」、110キロ台「打ちにくい」
結局、この2日間で智弁和歌山、大阪桐蔭という甲子園優勝経験のある名門校が「遅球」に翻弄されてしまったことになるが、地方大会だと、こうした番狂わせは「毎年どこかで」発生している。
それにはいくつかのパターンがあるが、私が見るところ、「制球力の良い軟投派」を擁する公立校が甲子園常連校に健闘を見せる場合が多い。
私が現場で見たなかで印象的だったのは、2022年の西東京大会5回戦、早稲田実業と国立高校の対戦だった(今大会、木製バットの使用で注目されている早実の宇野真仁朗は、1年生ながら3番を任されていた)。
このとき、早実は国立の投手、不破倖志朗の110キロ台のストレートにタイミングが合わなかった。それでも早実は4回表に5番のヒットを足掛かりに7番、8番、9番の3連続ヒットで3点を挙げたのだが、ピンチを迎えたこのときだけ、不破は全力投球しているように見え、実際に球速は120キロ台を記録した。
ところが、打たれた。120キロ台は甲子園を目指す学校にとって、「打ちごろ」なのだ。力で抑えようと思い切り投げると、かえってタイミングが合ってしまう。
面白いことに遅球に戻った不破は、そのあと早実打線を抑えた。一方、国立は2安打オンリーでスコアすることができず(残念ながら、点を取れる雰囲気もなかった)、早実は3対0で勝利したわけだが、この日、光っていたのは早実打線を翻弄した不破だった(彼は1番・投手で、試合後、東大のリクルーターが声を掛けていたのが私にとっては面白かった。どうやら彼は京都大学に進んだようだ)。
“番狂わせ”の条件
このような試合が、毎年どこかで展開される。強豪校にとって、軟投派は落とし穴になりかねないのだ。ただし、軟投派のエースを擁する学校が勝ち抜くこともまた、難しい。
今回の夏の甲子園に話を戻すと、小松大谷は3回戦の智弁学園戦で背番号18の左腕・中田凛を先発マウンドに送り、西川はリリーフに回ったが、3対6で敗れた。霞ヶ浦の市村は滋賀学園戦でも先発したが、4回まで被安打9、5失点と攻略されてしまった。滋賀学園がきっちり対応してきた印象だ。
メディアは、どうしても速球派の投手に注目しがちだが、名門校が相次いで軟投派の投手に手を焼いたのを見ると、たとえ遅い球であっても、制球力の良い投手がいる学校には番狂わせのチャンスがあると思う。
智弁和歌山戦で、霞ヶ浦の市村の与四球は1(ただし与死球は2)、大阪桐蔭戦での小松大谷の西川の与四球は1だけだった。
速さに目を奪われる時代だからこそ、遅い球は生きる。
名門校を倒した市村と西川の投球は、なんとも忘れがたい余韻を残している。
👣県岐阜商・鍛治舎巧監督、今後は「第一線の監督として陣頭指揮を執るのがライフワーク」退任会見
https://news.yahoo.co.jp/articles/07bffb9064e306632fa6a877b6bf6003620d553f
高校野球の強豪校・県岐阜商は28日、鍛治舎巧監督(73)が今月で退任すると発表した。岐阜市の同校で記者会見した鍛治舎監督は「今年4月に藤井潤作先生が来てくれた。全試合ベンチに入ってもらって試合をやってきたが、すごくいい。この人なら大丈夫と確信が持てたことがきっかけ」と退任の理由を口にした。
2018年に監督に就任。同校を卒業して以来、約50年ぶりに母校のユニホームに袖を通した。夏は5年甲子園から遠ざかり、公立校にもコールド負けする状況だったチームを持ち前の野球理論で立て直し、春夏合わせて4度甲子園に導いた。
「全員後輩なんですよ、選手。やっぱり1人も見捨てられない。改めて自分はやっぱり県岐阜商が好きなんだなと思いました」。普段は厳しい表情を見せる指揮官だが、母校愛に表情が緩んだ。
今後については「まだ何も決まってません」としたが、「総監督とかアドバイザーというのは柄ではない。グラウンドに立って、第一線の監督として陣頭指揮を執るというのが私のライフワークかなと思っている」と説明した。
📝U18小倉監督が今朝丸、中崎の先発起用明言「台湾、韓国に対して…」 ライバル見据えてローテ熟考
https://news.yahoo.co.jp/articles/97110ca6d4134c6b91c955f5178763651122482a
◇侍ジャパンU18壮行試合 高校日本代表1―7大学日本代表(2024年8月28日 ほっともっと神戸)
9月2日から台湾で開催される「第13回BFA U18アジア選手権」に出場する高校日本代表は28日、大学日本代表との壮行試合(ほっともっとフィールド神戸)に臨み、1―7で敗れた。
投手陣が苦戦を強いられた中、先発左腕の中崎琉生(3年=京都国際)と8回から5番手で救援した今朝丸裕喜(3年=報徳学園)が力投した。
中崎は3回3安打1失点にまとめた。初回1死一塁から3番の西川を右飛、4番の渡部を投ゴロに仕留め、3回2死無走者からの西川、渡部との再戦も無安打に抑えた。今秋ドラフト上位候補に挙がる中軸2人を封じ、「内角直球を自信を持って投げられた」と安どした。
今秋ドラフト1位候補に挙がる今朝丸は、1―7の8回から登板して2回無失点。登板した5投手の中で唯一の無安打投球で、「無失点で抑えられたことは自信につながりました」と振り返った。
小倉全由監督は「2人を先発でいけると思う」と今朝丸と中崎の先発起用を明言。さらに「台湾、韓国に対しての先発をしっかりと決めないといけない」とも言及した。強敵の2チームを相手に今朝丸と中崎を先発起用することも想定し、先発ローテーションを組むことになる。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8ae6bf8d61367da1a40ff26279b8015772605baf
試合後のインタビュー。記者の質問を受ける前に、明徳義塾の馬淵史郎監督は口を開いた。「負けるべくして負けた試合でした」
ゲームプラン通りロースコアの展開に持ち込んだ。だが、守備でも攻撃でも大事な場面でミスが出た。
「バントさせて構わない」との伝令を出したが
今大会で準優勝を果たすことになる、関東一に一時は勝ち越しながらも2-3で惜敗。初戦に勝利して甲子園の春夏通算勝利数を55に伸ばした68歳の名将は「守れない、バントできない、大事な中盤以降に先頭打者への四球。絵に描いたような負けパターンでした」と振り返った。
飛距離が抑えられた新基準バットでは、1点を取れるかどうかが大きなポイントとなる。この試合では馬淵監督が言及したように、バントが勝敗を分けた。
守備のミスが出たのは1点リードの5回表だった。2死三塁の場面で、明徳義塾の二塁手・平尾成歩選手の正面にゴロが転がった。スリーアウトチェンジと思われた打球だったが、平尾のグラブを弾いてエラーが記録された。
続く6回表。悪い流れを引きずったまま、明徳義塾の池崎安侍朗投手は先頭打者を四球で歩かせる。すかさず、馬淵監督が伝令を送った。
「バントをさせて構わない」
指揮官は関東一の4番・高橋徹平選手に犠打を決めさせ、1死二塁からの勝負を描いていた。高橋は初球からバントの構えを見せる。ところが、池崎はカウントを悪くして、フルカウントからバスターエンドランを決められてしまう。無死一、三塁とピンチが広がり、5番・越後駿祐選手に勝ち越し打を許した。馬淵監督は試合後、悔しさをにじませた。
「先頭打者の四球が痛かった。この日の打撃の調子を考えれば、相手の4番にはバントのサインが出る。バントをやらせろと言ったのに、バスターエンドランをかけられるカウントにしてしまった。バントをさせておけば、そんなに大きなピンチにはなっていなかった」
攻撃では代打で送りバントを仕掛けたが
攻撃面のミスは1点を追う7回無死一、二塁で起きた。馬淵監督は4番・竹下徠空選手に代打を送る勝負に出た。犠打で1死二、三塁をつくって同点、逆転へとつなげるシナリオを描いた。ただ、代打・北浦龍選手は2球で追い込まれ、3球目のバントは坂井遼投手の正面に転がった。ゴロを捕球した坂井が三塁に送球。アウトカウントだけが増える形となった。
指揮官はこう振り返る。「竹下にバントのサインを出すなら、バントの上手い選手にやらせようと思いました。思い切って代えましたが、痛いミスになってしまいました。送っておければリズムができたし、何とでもなったのですが」と回想した。
チャンスは続く。5番・長谷川烈央選手の打球は一、二塁間へ転がった。しかし、関東一の二塁手・小島想生選手に飛びついて捕球され、一塁でアウトを取られる。2死二、三塁となった後も、三遊間へのゴロを関東一の三塁手・高橋に横っ飛びで抑えられた。相手の連続ファインプレーで無得点。馬淵監督は「相手に上手いプレーをされました。ツキがなかったですね」と語った。
関東一のセカンドは準備ができていた
ツキがなかった――。名将が何度か口にした言葉。ただし要因は運だけではない。好守を見せた関東一の二塁手・小島は準備ができていた。
「相手は送りバントを失敗していたので、次の打者としては最低でも走者を進めるために右方向へゴロを打ってくるだろうと予測していました。坂井のバント処理もそうですが、普段から走者を置いた守備練習を繰り返しています。焦りはなく、普段通りやった結果です」
関東一の熊谷俊乃介捕手も勝負所での好守備は偶然や運ではないと考えていた。小島のコメントを、さらに掘り下げて解説した。
「相手チームの打者の特徴はバッテリーだけではなく、チーム全員で共有しています。内野手は自分の配球を予想して守備位置を変える時もあります。守備でアウトを取れるかどうかは事前の準備と一歩目の動きで決まる部分が大きいので、チーム全体で大事にしています」
関東一の選手たちは「伝統的に守備からリズムをつくるチーム」と口をそろえていた。そして、夏の甲子園では初めて導入される低反発バットの影響で、守備への意識は一層強くなった。内野ゴロが増え、アウトを取れるかどうかで勝敗が決まると考えている。明徳義塾戦でも勝負どころの守備が明暗を分けて白星を手にした。
“負けが必然のゲーム”だった
バットの変更による守備への考え方は馬淵監督も同じだ。元々、緻密な野球をスタイルとしているが、守備のミスが勝敗に直結すると聖地で痛感した。
「この試合、両チームとも外野の頭を越える打球は1本もありませんでした。こんなものだと思ってやらないと駄目だということです。そうなると、守備力とバントの重要性が高まります。相手の内野は、よく守りました。うちにも良い守備がありましたけどね」
明徳は失点につながるミスはあったが、好守も見せた。6回に勝ち越しを許し、なおも1死一、二塁のピンチで、二塁手・平尾が一、二塁間へのゴロに飛びついて一塁でアウトを取った。馬淵監督が「抜けていたら失点していた」と称えたプレーだった。
「負けは必然、勝ちは偶然と言いますが、きょうは必然のゲーム。大事なところで守りのミスやバントミスをすれば、上には行けません。そして、四球からピンチを広げるパターン。ここをもう一度見つめ直さないと、甲子園では勝てないと思っています」
ご苦労さんと言ってやりたいです
敗戦後の指揮官は厳しい言葉を並べた。ただ、ぼやきや嘆きとは違う。口調や表情は暗くない。甲子園で初めて経験した低反発バットで課題が明確になる収穫があった。最後は選手を労って、前を見据えた。
「今年のチームはよくやったと思います。ずっと勝てない状況から甲子園で1勝できるところまで来ました。ご苦労さんと言ってやりたいです。選手たちは目標を高く持っているので、『よくやった』という言葉では納得しないかもしれませんが。今回の経験を次のチームに生かしたいと思っています」
今大会で2試合とも最後まで1人で投げ抜いた池崎は、まだ2年生。この試合で適時打を放った里山楓馬捕手は1年生で、バッテリーが新チームに残る。さらに、1番打者の松井萊翔選手と3番の藤森海斗選手も2年生で、引き続き主力として計算できる。
「センバツには石にかじりついてでも出てきたいですね」
聖地を去る名将の足取りは決して重くはなく、力強いまなざしだった。
📝ざわつく甲子園スタンド「大阪桐蔭ムチャ打つやろね」が裏切られた日…高校野球“番狂わせ”の新常識「なぜ超名門校は110キロ台“遅いピッチャー”が苦手?」
https://news.yahoo.co.jp/articles/02298f1adbcffe5ee2ec985e027241f9207d3569?page=1
夏の甲子園。足を運んだ日に智弁和歌山、センバツ優勝の健大高崎、そして大阪桐蔭が敗れるという「衝撃」を目撃してしまった。
印象的だったのは、智弁和歌山、大阪桐蔭の両校の打線が「遅い球の罠」にハマってしまっていたことだ。
智弁和歌山の対戦相手、霞ヶ浦の2年生エース市村才樹は身長188センチと大柄。ただしストレートは120キロ台、スライダーは100キロ台、カーブにいたっては90キロ前後と、甲子園出場レベルの学校の投手としては「超遅」といってよかった。
スタンドで見ていても、遅いと分かる。20年ほど前、現在はヤクルトスワローズの監督を務める高津臣吾が、マリナーズの本拠地で90キロ台のカーブを投げ、スタンドから「Ohhhh!」という驚きの声が上がったのを思い出したほどだ。
130キロ以上が“当たり前”
素人は、遅い方が打ちやすいと考える。それは違うのだ。甲子園常連校の場合、対戦相手の投手が130キロ、140キロ台の速球派で、それを打ち抜くことを想定している。そうなると、日ごろのピッチングマシンの速度設定、練習試合の対戦相手も速球派の投手を求める。つまり、打撃の始動のタイミングが130キロ以上に対応したものになっている場合が多い。
そうした「初期設定」になっていると、軟投派の投手に出くわすと思わぬ苦戦を強いられる場合がある。対戦前、「相手は軟投派」とデータで示されていても、なかなか対応できるものではない。
この日の智弁和歌山は、打者の1巡目はフライアウトが6に対し、ゴロアウトは1つという内容だった。どちらかといえば、ボールの下を叩いてしまうことが目立った。
ところが霞ヶ浦に先制点を許し、打順が2巡目に入ると、遅い球をバットに引っかけることが目立ち始めた。2巡目に入ってから、7回まではゴロアウトが8、フライアウトが2と凡打の山を築き始めた。しかも6回、7回ともに併殺打でイニングオーバー。市村の術中に完全にハマってしまう形となった。
それでも8回裏には霞ヶ浦の二塁手のエラーをきっかけに、途中出場の高桑京士郎、4番の花田悠月に連続ホームランが出て試合を振り出しに戻すと、甲子園は沸きに沸いた。
ようやくこの回の途中で市村をマウンドから引きずり下ろした格好になったが、強打者である4番の花田にしても、4打席目になってようやくタイミングをつかんだことになる(3打席目は併殺打に倒れていた)。
試合は延長戦に入り、後攻の智弁和歌山が有利と思われたが、延長11回、タイブレークの末に敗れた。振り返ってみると、市村の遅い球に翻弄され続け、後手に回ったのが敗因となった。
「大阪桐蔭、ムチャムチャ打つやろね」
翌14日は第2試合に大阪桐蔭が出るとあってスタンドは超満員、私の周りのファンは、「大阪桐蔭、ムチャムチャ打つやろね」
と話していたのだが――この試合の主役となったのは、小松大谷のエース、西川大智だった。西川はスイスイと投げ進め、なんと92球での完封、大阪桐蔭相手に100球未満での完封劇“マダックス”を達成してしまった。
霞ヶ浦の市村ほどではないが、西川も遅い球をうまく駆使した。西川の持ち球はストレートとスライダー、そしてチェンジアップの3種類のみ。この日の投球内容を分析すると、試合の序盤はストレートとスライダーを中心に組み立て、後半はチェンジアップを織り交ぜていく。
西川は「緩急」をうまく利用した。この日、ストレートの最速は138キロだったが、変化球を投じた時にはスピードガンの表示が110キロ台になることも珍しくなかった。
大阪桐蔭の各打者は、バットには当てた。しかし、そのほとんどが凡打となった。この日、フライアウトは15を数え、内野ゴロは10個。打球で歓声が上がったのは、7回2死から代打で登場したラマルがレフトフライを放ったときだけだっただろうか。
そして西川が奪った三振は……わずか1個だけだった。
120キロ台「打ちごろ」、110キロ台「打ちにくい」
結局、この2日間で智弁和歌山、大阪桐蔭という甲子園優勝経験のある名門校が「遅球」に翻弄されてしまったことになるが、地方大会だと、こうした番狂わせは「毎年どこかで」発生している。
それにはいくつかのパターンがあるが、私が見るところ、「制球力の良い軟投派」を擁する公立校が甲子園常連校に健闘を見せる場合が多い。
私が現場で見たなかで印象的だったのは、2022年の西東京大会5回戦、早稲田実業と国立高校の対戦だった(今大会、木製バットの使用で注目されている早実の宇野真仁朗は、1年生ながら3番を任されていた)。
このとき、早実は国立の投手、不破倖志朗の110キロ台のストレートにタイミングが合わなかった。それでも早実は4回表に5番のヒットを足掛かりに7番、8番、9番の3連続ヒットで3点を挙げたのだが、ピンチを迎えたこのときだけ、不破は全力投球しているように見え、実際に球速は120キロ台を記録した。
ところが、打たれた。120キロ台は甲子園を目指す学校にとって、「打ちごろ」なのだ。力で抑えようと思い切り投げると、かえってタイミングが合ってしまう。
面白いことに遅球に戻った不破は、そのあと早実打線を抑えた。一方、国立は2安打オンリーでスコアすることができず(残念ながら、点を取れる雰囲気もなかった)、早実は3対0で勝利したわけだが、この日、光っていたのは早実打線を翻弄した不破だった(彼は1番・投手で、試合後、東大のリクルーターが声を掛けていたのが私にとっては面白かった。どうやら彼は京都大学に進んだようだ)。
“番狂わせ”の条件
このような試合が、毎年どこかで展開される。強豪校にとって、軟投派は落とし穴になりかねないのだ。ただし、軟投派のエースを擁する学校が勝ち抜くこともまた、難しい。
今回の夏の甲子園に話を戻すと、小松大谷は3回戦の智弁学園戦で背番号18の左腕・中田凛を先発マウンドに送り、西川はリリーフに回ったが、3対6で敗れた。霞ヶ浦の市村は滋賀学園戦でも先発したが、4回まで被安打9、5失点と攻略されてしまった。滋賀学園がきっちり対応してきた印象だ。
メディアは、どうしても速球派の投手に注目しがちだが、名門校が相次いで軟投派の投手に手を焼いたのを見ると、たとえ遅い球であっても、制球力の良い投手がいる学校には番狂わせのチャンスがあると思う。
智弁和歌山戦で、霞ヶ浦の市村の与四球は1(ただし与死球は2)、大阪桐蔭戦での小松大谷の西川の与四球は1だけだった。
速さに目を奪われる時代だからこそ、遅い球は生きる。
名門校を倒した市村と西川の投球は、なんとも忘れがたい余韻を残している。
👣県岐阜商・鍛治舎巧監督、今後は「第一線の監督として陣頭指揮を執るのがライフワーク」退任会見
https://news.yahoo.co.jp/articles/07bffb9064e306632fa6a877b6bf6003620d553f
高校野球の強豪校・県岐阜商は28日、鍛治舎巧監督(73)が今月で退任すると発表した。岐阜市の同校で記者会見した鍛治舎監督は「今年4月に藤井潤作先生が来てくれた。全試合ベンチに入ってもらって試合をやってきたが、すごくいい。この人なら大丈夫と確信が持てたことがきっかけ」と退任の理由を口にした。
2018年に監督に就任。同校を卒業して以来、約50年ぶりに母校のユニホームに袖を通した。夏は5年甲子園から遠ざかり、公立校にもコールド負けする状況だったチームを持ち前の野球理論で立て直し、春夏合わせて4度甲子園に導いた。
「全員後輩なんですよ、選手。やっぱり1人も見捨てられない。改めて自分はやっぱり県岐阜商が好きなんだなと思いました」。普段は厳しい表情を見せる指揮官だが、母校愛に表情が緩んだ。
今後については「まだ何も決まってません」としたが、「総監督とかアドバイザーというのは柄ではない。グラウンドに立って、第一線の監督として陣頭指揮を執るというのが私のライフワークかなと思っている」と説明した。
📝U18小倉監督が今朝丸、中崎の先発起用明言「台湾、韓国に対して…」 ライバル見据えてローテ熟考
https://news.yahoo.co.jp/articles/97110ca6d4134c6b91c955f5178763651122482a
◇侍ジャパンU18壮行試合 高校日本代表1―7大学日本代表(2024年8月28日 ほっともっと神戸)
9月2日から台湾で開催される「第13回BFA U18アジア選手権」に出場する高校日本代表は28日、大学日本代表との壮行試合(ほっともっとフィールド神戸)に臨み、1―7で敗れた。
投手陣が苦戦を強いられた中、先発左腕の中崎琉生(3年=京都国際)と8回から5番手で救援した今朝丸裕喜(3年=報徳学園)が力投した。
中崎は3回3安打1失点にまとめた。初回1死一塁から3番の西川を右飛、4番の渡部を投ゴロに仕留め、3回2死無走者からの西川、渡部との再戦も無安打に抑えた。今秋ドラフト上位候補に挙がる中軸2人を封じ、「内角直球を自信を持って投げられた」と安どした。
今秋ドラフト1位候補に挙がる今朝丸は、1―7の8回から登板して2回無失点。登板した5投手の中で唯一の無安打投球で、「無失点で抑えられたことは自信につながりました」と振り返った。
小倉全由監督は「2人を先発でいけると思う」と今朝丸と中崎の先発起用を明言。さらに「台湾、韓国に対しての先発をしっかりと決めないといけない」とも言及した。強敵の2チームを相手に今朝丸と中崎を先発起用することも想定し、先発ローテーションを組むことになる。